Thursday 9 December 2010

ヴァルキューレ(スカラ座)

スカラ座は12月7日に今シーズンが開幕しました。実質的な音楽監督であるダニエル・バレンボイムがオープニングに選んだのは「ヴァルキューレ」です。2013年に向けての一環です。演出はギー・カシアス(Guy Cassiers)、ダニエル・バレンボイムの指揮で、リンデン・オーパーとの共同制作だそうです。その初日のネットラジオでの中継を録音して、今日聴きました。第1幕だけですが。ただ、設定を誤ったため最後まで録り切れず、第3幕の親子の対話中に終ってしまっていました。今夜NDRでも放送されるようなので、再録音します。

サイモン・オニールは新国立劇場で2012年にカヴァラドッシを歌うようなので、少しマークしています。ヴァルトラウト・マイヤーとジョン・トムリンソンの説明は不要でしょう。ニーナ・シュテンメは来年6月にSFOのチクルスでもブリュンヒルデを歌います。2009年のグラインドボーンではイゾルデを歌いました。新国立劇場でエルダを歌ったシモーネ・シュレーダーがロスヴァイゼです。バイロイトにもヴァルキューレやラインの娘、ノルンとして出ています。当初の発表ではルネ・パペがヴォータンでしたが、降板によりウクライナのヴィターリ・コワリョフになりました。この人はLAOのチクルスでもヴォータンだったそうで、新国立劇場には2006/7シーズンの「ドン・カルロ」でフィリッポ2世で出演しました(あまり記憶に残りませんでした...)。

シーズン初日ということで、初めにバレンボイムがピットから挨拶し、その後にイタリア国歌の演奏があるのですが、ご存知のようにこの曲はどう考えても後に続くヴァルキューレの序奏には相応しくありません。軍楽隊のような長調の明るい旋律は、低弦の呻る嵐の音楽とは対照的です。1度休憩を挟んで改めてヴァルキューレに入って行きたいところです。「ラインの黄金」で開幕した今シーズンのMetも初日は国歌斉唱があって同様の状況だったようですね。聴いたのは第1幕だけなので3人しか出て来ませんが、先ずマイヤーでしょう。Du bist der lenz は馥郁としていて、Siegmund - so nenn' ich dich! は少し地声が混じりながらもばっちり決めました。オニールは途中少し鼻にかかったような発音が気になりましたが、大詰めのSiegmund heiß' ich und Siegmund bin ich! 以降は特によかったです。トムリンソンは最初不安定で、最後まで今一つぱっとしないフンディングでした。初台でのクルト・リドルは亭主関白な感じが出ていましたし、バイロイトでのユン・クワンチュルは(犬の被り物を引き連れた)一族の長というどっしり構えたフンディングだったのに比べると、演出のせいかも知れませんがトムリンソンは悪人らしくないフンディングに聞こえました。あと、バレンボイムの指揮は要所を押さえていて安心して聴けますね。昨年のスカラ座来日公演の「アイーダ」がひどかった(指揮だけではありませんでしたが)だけに、気合の入り方が違うのを余計に感じました。観ていないので演出は評価出来ませんが、スカラ座のサイトにあるメイキングビデオ(プロモーションビデオ?)によると、CGや映像技術を多用してファンタジーと現実との差を埋めようとしているようです。部分的に見えるセットや衣装はシンプルでした。ちなみに、欧米では映画館でのライヴ中継があったようなので、東京にもいずれ回ってくるでしょう。

Direttore: Daniel Barenboim
Siegmund: Simon O'Neill
Hunding: John Tomlinson
Wotan: Vitalij Kowaljow
Sieglinde: Waltraud Meier
Brünnhilde: Nina Stemme
Fricka: Ekaterina Gubanova
Gerhilde: Danielle Halbwachs
Ortlinde: Carola Höhn
Waltraute: Ivonne Fuchs
Schwertleite: Anaik Morel
Helmwige: Susan Foster
Siegrune: Leann Sandel-Pantaleo
Gringerde: Nicole Piccolomini
Rossweisse: Simone Schröder
Orchestra del Teatro alla Scala di Milano
7 Dicembre 2010
Teatro alla Scala

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